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脳出血
【要点】
脳内出血という病気は脳の実質内に出血を起こした状態で外傷によるものと非外傷性に分けられ、出血により頭蓋内圧亢進をきたす重篤な疾患です。大きな出血の場合は、致命率は高く、適切な治療が行われても脳出血により破壊された脳組織は元には戻ることはないため、意識が戻らないことも多く、意識が戻っても手足の麻痺や失語症、視野障害、認知機能障害、性格変化などの後遺症をのこすことになります。
そのため予防することが極めて重要です。
【危険因子】
[ 高血圧症 ]
最大の危険因子と考えられ、原因の非外傷性脳出血の約60%を占めます。
[ 大量飲酒 ]
過度の飲酒は出血を助長すると考えられています。
[ 喫煙 ]
脳梗塞だけでなく脳出血のリスクと考えられています。
そのため血圧の管理、節酒、禁煙が脳出血の予防には重要と考えられています。
ただし、稀に血管奇形が隠れていることがあります。
【治療の必要性について】
出血を生じた場合は、血腫の量や状態によっては手術を行うことがあります。
手術を行う場合は次のような目的があります。
① 脳幹への血腫による圧迫を解除
② 出血の原因の同定
③ 機能予後の改善(後遺症の軽減)
しかし、血腫は全て除去されても脳組織は壊れているため、重度の左片麻痺が残りました。
【治療方法】
病状(主に神経症状)や血腫の大きさや位置などを総合的に判断し、適した治療方法をお伝えいたします。
①開頭血腫除去術
開頭術を行い、脳の中の血腫を除去し、活動的な出血が認められれば止血を行います。状況によって頭の骨を外した状態で集中治療室に戻ることもあります。
②神経内視鏡による血腫除去術
開頭術よりも体ヘの負担が少なく、また開頭術では届かない血腫(具体的には脳室という脳の中心にある部屋)まで除去できる利点があります。ただし、止血処置が難しいこともあり、病状によっては選択できないことがあります。
詳細は 神経内視鏡治療のページ をご参照ください.
③定位的脳内血腫除去術
頭蓋骨に10円玉程度の大きさの穴を作成し、頭部画像検査を下に測定した位置(多くは血腫の中心)へ針を進めて、そこから血腫を除去する方法です。低侵襲ですが、止血処置が行えないため当院では発症超急性期には行っておりません。
④脳室ドレナージ術
頭蓋骨に10円玉程度の大きさの穴を作成し、脳室という部屋に管を留置してくる手術です。脳室という脳の中心にある部屋が血腫によって満たされている際に行うことがあります。
⑤保存的加療
止血剤の投与と血圧の厳重な管理を行います。出血量が少なく意識の状態が極めて良いか、外科治療を行っても意識が戻らない可能性が極めて高い場合に推奨する治療方法です。
ただし、発症時の意識の状態が良くても経過の中で意識の状態が悪化し、頭蓋内の病変によるものと判断された場合には緊急手術を行うこともあります。